Friedrich Maximillian Klinger: Faust's Leben, Thaten und Höllenfahrt (1799) - 書誌情報

Posted on Dec 30, 2024

底本

本サイトの原文では、主にProjekt Gutenbergの電子テキストをベースに、底本に寄せて表記を改めています。

また、解釈に迷った際などに以下の英訳を参照しています。こちらの底本は後述の初版(1791)のようです。訳者は英国の作家/旅行家ジョージ・ヘンリー・ボロー(1803-1881)とされています。

底本選択について

本作は、著者クリンガーの存命中に何度か大きな加筆修正がなされています。主な版は以下の通りです。

このほかにも海賊版や、出版年の異なる再版などが多数存在しています。
ちなみに上記の4つの版のうち、著作集版以外はいずれも匿名での出版であり、初版に記載されているサンクトペテルブルク(St. Petersburg)のクリーレ(Kriele)なる版元も架空のものです。実際の版元はライプツィヒ(Leipzig)のヤコベーア(Jacobäer)というところでした。

翻訳を行うにあたり、通常ならば

  1. 各版の異同をまとめた校訂テキストを作り、翻訳もそれをもとに全ての版をカバーする
  2. 初版をもとにする
  3. 著者自身による最終版をもとにする

というあたりがよくある選択肢だと思うのですが、今回はこれらいずれの方法もとらず、初版でも最終版でもない新増補改訂版(1799)を採用しています。
その理由は下記の通りです。

  • 1.は、手間の点で難しいことに加え、読み物としては読みづらくなるので行いたくない。
  • 2.は、初版より後の版でかなりの加筆がされている(丸々1章ぶん増えているところもあります)ため勿体ない。
  • 3.の著作集版では大幅な加筆はない一方、前の版から大きく削除されている箇所がある。

残る増補改訂2版(1794)と新増補改訂版(1799)はページ数や版組みも同様で、内容に大きな差異はなさそうなので、新しい方の新増補改訂版(1799)を採用しています。

なお、上で示した電子テキストがどれに対応するかというと、Zeno.orgは増補改訂2版(1794)にもとづく1970年の著作集を典拠としていますが、所々に誤植や大きな欠落がみられます。
Projekt Gutenbergのほうは1986年のReclam版が典拠とのことですが、Reclam版がどの版にもとづいているかは、原書を入手できなかったので不明です。内容的には、増補改訂2版または新増補改訂版と思われますが、カンマの場所や綴字が現代風に改められています。

原文の凡例

本サイトのドイツ語原文では、底本の書式を下記のように再現しています。

  • Italic: 原文で字間空けの箇所。強調など。
  • Bold: 原文で太字の箇所。対話体の部分の発話者など。
  • Gothic: 原文のローマン体部分。外国語の引用箇所など。